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sun政府の原子力委員会は25日、原子力発電所の事故賠償などの追加費用が1キロワット時あたり最大1円になるとの試算を公表した。今回の試算は政府が年末までにまとめる発電コスト再計算に織り込む。政府はさらに原発では立地対策費や研究開発費、火力発電では燃料費や温暖化対策費用なども考慮し、年末までに最終的な発電コストをまとめる。原発、火力ともにコスト上昇は必至だ。

 

 

 エネルギー・環境会議のコスト等検証委員会(委員長・石田勝之内閣府副大臣)が東日本大震災前に政府が算出した原子力、火力、再生可能エネルギーなどのコストを年末までに再計算。安全で安定的かつ安価な発電体制の構築に最適な火力や原子力などの電源の組み合わせを定め、来夏にまとめるエネルギー供給の基本計画に反映させる。

 焦点は、東京電力福島第1原発の事故を受け原発コストをどう見直すか。原子力委は東電に関する経営・財務調査委員会の試算に基づき、モデルケースの原発について、事故に伴う賠償、廃炉などの費用を3兆8878億円と仮定。1キロワット時あたり最大1円のコスト上昇要因になるとした。

 使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクルの費用も試算した。使用済み核燃料の半分を50年間中間貯蔵してから再処理する現状に近い方式では1キロワット時あたり1.39円。これは従来のコスト試算とほぼ同水準だった。

 従来試算の原発の発電コストは1キロワット時あたり5~6円。今回の試算を単純に上乗せすると、同6~7円だ。従来試算の石炭火力(同5~7円)、液化天然ガス火力(同6~7円)と同レベル。コスト検証委は今回の試算に加えて、立地対策費や研究開発費を上乗せすることを検討している。一部の除染費用や放射性廃棄物の中間・最終処理費用も含まれていないため、コストはさらに上昇する可能性は大きい。

 例えば、日本経済研究センターの試算では、事故に伴う追加費用を10年間で5.7兆~20兆円と推定。原発の発電コストは7.4円から13.3円と算出しており、原子力委の試算結果を上回る。

 原発以外の発電コストも再計算で上昇する可能性が大きい。当面は原発に代わる有力な電源である火力では、今後の再計算で温暖化対策費用や燃料の価格上昇分などを新たに考慮して試算することが固まっている。政府は為替変動や新興国との競合による燃料費上昇分を国際エネルギー機関(IEA)や経済協力開発機構(OECD)の見通しを参考に算出する方針だ。両機関とも今後30年間で石油や天然ガスともに1~3割価格が上昇すると試算しており、火力も大幅な発電コストの上昇が避けられない。

 太陽光など再生可能エネルギーは普及拡大でコスト低下を見込めるが、なお割高。大量の電気を送電網に流すには電圧や周波数を安定させるための追加費用がかかる。

 再計算でどの国際機関の試算や新たな追加費用の範囲を採用するかは、検証委の委員の間でも意見の隔たりは大きい。性格や種類の異なる電源のコスト範囲を半ば強引にそろえようとする作業のためだ。エネルギー政策の見直しでは、コスト比較に加え、燃料の安定確保や環境への影響といった多角的な視点が重要となる。

 

sun日本ガイシが同社製のナトリウム硫黄(NAS)電池を使う顧客に対して、使用を見合わせるよう要請していることが、24日明らかになった。9月21日に三菱マテリアルの工場で発生した火災事故の原因がつかめないため。受注活動も一部でとりやめており、業績に影響が出る可能性もある。

 火災を起こしたのは同社が2009年に生産し、三菱マテリアルが筑波製作所(茨城県常総市)で運転していた製品。日本ガイシは事故調査委員会を設け原因を調査してきたが、「現段階で火災の原因がつかめていない」(同社)という。

 このため、使用中の顧客に運転見合わせを要請した。ただ、顧客によっては自社拠点の操業に不可欠として使用を継続している例もある。日本ガイシ製のNAS電池は工場を中心に国内外で累計約170カ所、30万キロワット分が納入されている。

 関東地区では東京電力と共同で、その他の地域では主に日本ガイシが単独で手がけている受注活動は、一部を除きとりやめている。東北電力の能代火力発電所(秋田県能代市)に12年1月の運転開始を目指して納入予定だった8万キロワット分も、今後の扱いを東北電と協議しているもようだ。

 日本ガイシのNAS電池事業の売上高は12年3月期見通しで280億円と連結売上高の11%を占める。

 

 センサー市場が拡大する主因は蓄電池の普及にある。携帯電話やノートパソコンなどの電子機器だけでなく、車載用などにも使われ始めたことで全体の販売個数を押し上げている。今後、分散型エネルギー機器が普及すれば、市場はさらに広がりそうだ。

 ガソリン車の場合、1台に搭載される温度センサーは10個程度。燃料の噴射口やカーエアコンなどに使われている。これがハイブリッド車(HV)になると、1台あたり15~17個に増える。蓄電池は高温になりやすく、安全確保には過充電を防いだり、電池内部の熱量を監視したりするセンサーが必要なためだ。

 HVの普及でセンサーの販売数量は増大。富士キメラ総研によると、09年の車載用温度センサーの販売数量は世界で4億4000万個だったが、15年には1.8倍に増えると予測している。

 普及のペースが早まっている分散型エネルギー機器にもセンサーは多く利用されている。都市ガスから水素を取り出す燃料電池内の改質機に使われるほか、太陽光発電で作った電気の性質を転換するインバーターにも使われている。

 環境性能に優れた機器での利用は「今年に入ってから急増している」(大泉製作所の坂東茂専務)。蓄電池の部品としての利用のほか、エネルギー機器での活用も見込まれるセンサー市場はさらに拡大しそうだ。

 

sun7月1日から施行された電力使用制限令が9月9日に解除されました。この命令によって、15パーセントの節電を余儀なくされた日本経済には、いったいどのような影響があったのでしょうか。経済ジャーナリストの荻原博子さんに話を聞きました。

今年の夏、本当に電力は足りなかったのか?

計画停電の影響は鉄道各社にも波及。節電対応のため間引き運転などで大幅にダイヤが乱れる結果となった。

計画停電の影響は鉄道各社にも波及。節電対応のため間引き運転などで大幅にダイヤが乱れる結果となった。

電気が足りなくなって、停電を余儀なくされるといわれていた今年の夏。

フタを開けてみたら、東京電力のピーク時の電気の供給能力は最大で5700万kWhを超える状況にあるにもかかわらず、8月9日のピーク時に必要となった電力は4817万kWhと2割ほど少なかった。足りなくなるどころか余って、140万kWhを東北電力などに融通していました。

本当に、電力は足りなかったのか。

福島の原発事故で「計画停電」せざるを得ないということで、商店や企業など多大な打撃を受けたところもありました。

しかし、疑問なのは、2002年に東電の原発トラブル隠しが発覚し、調査のために福島原発を含む17基が全部停止したにもかかわらず、その時には「計画停電」が起きなかったこと。

当時は、全ての原発が停止しましたが、9月26日現在は柏崎刈羽の2基は運転中で約250万kWhの電力を供給しています。

しかも、2002年のピーク時の電力は6320万kWhだったのに対して、今年は前述のように5000万kWh弱。

「原発が無いと、電気が足りなくなる」ということを作為的に意識付けられている気がします。

電気事業連合会のデータによれば、東京電力管内では2001年のピークを境に減少傾向へ

電気事業連合会のデータによれば、東京電力管内では2001年のピークを境に減少傾向へ

日本では、文化的な生活をするために、年々電気の消費量が上がっているので原発が必要だといわれ続けてきました。

しかし、実は前述の2002年と今年のピーク時の消費量を比べてみるとわかりますが、省エネが進んだことなどから消費量は年々下がっています。

加えて、今回の原発事故で企業も個人も自家発電を意識し、省エネ意識が身に付いたことで、今後、ますます消費量は下がっていくでしょう。

 

家計を直撃する電気料金値上げ! 長引く節電生活に備えよう

これから、電気代がとんでもなく上がっていきそうです。

原発が定期点検などで停止し、運転再開のめども立たないなか、必然的に火力発電などに頼らざるを得なくなるため、そのコストが重しとなって家計を直撃することが予想される。

原発が定期点検などで停止し、運転再開のめども立たないなか、必然的に火力発電などに頼らざるを得なくなるため、そのコストが重しとなって家計を直撃することが予想される。

そもそも今の電気料金は、「燃料費調整制度※1」で燃料の値上がり分が電気代に上乗せされるようになっています。

そのため、原油価格が世界的に値上がりしている中で、火力発電所などをフル稼働させているために、一般的な家庭では、ここ半年で電気代が月500円ほど値上がりしています。

さらに東京電力では、来春から15パーセント程度の電気料金の値上げを検討しているとのこと。しかし、値上げはそれだけではありません。

太陽光や風力など、再生可能なエネルギーを普及させるために、通常の電気よりも高く買い上げる「再生可能エネルギー特別措置法案」が、菅内閣のもとで可決され来年7月から施行されます。

そうなると、再生可能エネルギーを買い取る差額は、私たちの電気代に上乗せされることになります。さらに、「原子力損害賠償支援機構法※2」が成立し、これによって東電の原発事故の賠償金も私たちの電気料金に上乗せされて徴収されることになりました。

こうした中、原子力のコストが、火力や水力よりも実は高いというとんでもない試算が、政府の「エネルギー・環境会議」から7月29日に発表されました。

「電気新聞」(8月23日付)によると、なんと、原発のコストは1kWh当たり約16~20円で、水力の8~13円、火力の7~8円よりもはるかに高いというのです。

しかも、このコストには、原発事故処理コストは入っていません。

これについては、今後、物議をかもすと思われますが、とにかく家庭の電気代がさまざまな要因で上がっていくことは確実。

自己防衛のためにも、省エネ、節電/蓄電の技術を、しっかり身に付けておくべきでしょう。(更新日 2011年10月20日)

 

 

sun 太陽電池市場の成長が踊り場を迎えた。世界需要の7割を占める欧州の景気悪化に中国企業の価格攻勢が加わり、日本や欧米各社は軒並み業績を悪化させている。円高で輸出採算が悪化する中、世界シェアが低い日本メーカーは生き残れるのか。国内2位の京セラの久芳徹夫社長に聞いた。

 

 

―欧州で債務危機が深刻化し、各国政府の補助金政策も縮小している。

 「欧州の市場環境がこれほど悪くなるとは思っていなかった。世界の太陽電池市場は2009年、10年と前年を上回ったが、今年は様相が異なる。ドイツが固定価格買い取り制度(FIT)を削減する見込みで、来年も市況改善は期待しにくい。円高の中でいかに競争するか。現在、今年度80万キロワット、12年度に100万キロワットを生産する中期計画を見直しているところだ」

 ――中国勢の価格攻勢を受け、国内外の大手も赤字転落している。

 「中国は国策として太陽電池産業の育成を後押しており、安値攻勢は尋常でない。それでも当社は上半期(4~9月期)も黒字を維持した。利益率は下がっているが、下半期以降も黒字を維持する計画だ」

 「他社と異なるのはシリコン粒子の鋳造から一貫生産し、開発陣と生産現場が一体で技術革新に取り組んでいることだ。太陽電池の基幹部品『セル』製造で、改善の自由度が高い。部材の外部調達や工程の外部委託は、その瞬間は採算が改善するが長続きしない」

 ――円高対策で、セル生産を海外移転する考えは。

 「滋賀県の2工場でセルを生産しているが、現時点で海外移転は考えていない。セルの生産効率や材料費低減などまだ改善余地があり、発電能力も少しずつだが引き上げられる。労務費が安い海外で生産すれば、採算が劇的に改善するわけではない。成長が鈍化したとはいえ、中長期では必ず伸びる市場だ。1キロワット当たりの発電コストを引き下げる次世代セルの研究開発も進めるなど、将来への布石も打っている」

 ――日本勢は世界シェアが後退し、シャープと京セラがかろうじて10位以内。事業を続けていけるのか。

 「太陽電池はテレビや半導体と異なり、自動車や建築物のような耐久消費財だ。顧客である個人や企業、自治体は10~20年使用することを前提に購入している。採算割れになるぐらい価格を極端に下げればシェアは取れるが、そうした戦略はとらない」

 「初期コストが安いという理由で新興の中国製を選ぶ顧客もいるが、品質や性能に対する評価が定まるには時間がかかる。京セラは36年の実績がある。顧客は販売価格が高くても、いずれ長期のトータルコストで評価するようになる」

 

 

 79年九大工卒、82年京セラ入社。車載部品やセラミック部品事業を経て08年取締役。09年から現職。57歳

 

<聞き手から一言>米社相次ぎ破綻、日本勢も正念場

 将来性が期待される太陽電池だが、日米欧の大手メーカーは苦戦を強いられている。米国では8月にエバーグリーンソーラーなど3社が経営破綻した。国内最大手のシャープと独Qセルズも今年上半期(1~6月期)は赤字だった。

 京セラの太陽電池事業の売上高は1000億円超とみられる。創業者の稲盛和夫氏の方針で、目先のシェアを追わず黒字確保と国内雇用の維持を最優先にしてきた。ただ、円高のハンディを背負いながら競争を続けるのは容易でない。圧倒的シェアを握った中国勢が品質も高めてきた時に太刀打ちできるか、正念場となる。

(堀江耕平)

 

sun 【ニューヨーク=小川義也】米太陽電池メーカー7社は中国の太陽電池メーカーを、ダンピング(不当廉売)があったとして米商務省と米国際貿易委員会(ITC)に提訴した。低価格を売り物にする中国勢との競争激化で、米国では太陽電池メーカーの工場閉鎖や倒産が相次いでいる。貿易赤字や人民元の問題で緊張感が高まっている米中関係の新たな火種となる可能性がある。

米太陽電池メーカーは中国メーカーとの競争が激しくなっている(2010年、米コロラド州の太陽光発電所)=ロイター
 

米太陽電池メーカーは中国メーカーとの競争が激しくなっている(2010年、米コロラド州の太陽光発電所)=ロイター

 提訴したのは、独太陽電池大手ソーラーワールドの米子会社ソーラーワールド・インダストリーズ・アメリカ(オレゴン州)など7社。結晶シリコン型の太陽電池が対象で、薄膜型の太陽電池や、太陽熱など太陽光発電以外の技術は含まれていない。

 7社で組織する業界団体「コアリション・フォー・アメリカン・ソーラー・マニュファクチャリング(CASM)」の広報担当者によると、提訴対象には「かなり多くの中国メーカーが含まれている」。ただ、具体的な企業名は明らかにしていない。

 ソーラーワールド米子会社のゴードン・ブリンザー最高経営責任者(CEO)は声明で「中国政府による法外な補助金で生産能力を増やしてきた中国メーカーは不当に安い価格の太陽電池を米市場に大量に押し込み、公正な市場価格や太陽電池産業に従事する労働者の雇用を脅かしている」と主張。「中国の行為は違法であり、食い止めなければならない」と訴えた。

 CASMによると、今年1月から8月までの中国からの結晶シリコン型太陽電池の輸入額は16億ドル(約1230億円)で、すでに昨年1年間の輸入額を上回った。生産量のほぼ全量を海外に輸出する中国メーカーの攻勢により、世界の太陽電池価格は過去1年間で40%下落。提訴した7社は過去1年半の間に米国内の工場閉鎖などを余儀なくされ、「何千人もの雇用が失われた」という。

 今年8月にはオバマ政権の「グリーン・ニューディール」政策のシンボルといわれた太陽電池メーカー、ソリンドラ(カリフォルニア州)など3社も相次いで経営破綻。米国勢の苦境ぶりが鮮明になっていた。

 

sun一般家庭を対象に、コスト対性能比が高い蓄電池システムの開発が進んでいる。火付け役になったのがNEC。分電盤につないで既設のコンセントが使える系統連携が可能な蓄電池システムを2011年7月に発表し、「電池容量6kWhで100万円以下」とした。2012年から本格販売する計画だ。

 この価格設定は、電池容量当たりで従来製品の4分の1~5分の1に相当する。NECをターゲットに、他社からも価格競争力のある製品が相次いで製品化されると見られる。政府からの補助金が実施され、電池コストの低減がさらに進めば、テクノアソシエーツがこのほどまとめたレポート『定置用蓄電池はどこまで使われるか』において、定置用蓄電池の急速普及の条件の一つに挙げた「6kWh50万円」の実現が、2014年頃には見えてくる(図1)。

タイトル
図1 定置用蓄電池の普及に向けた10の仮説(『定置用蓄電池はどこまで使われるか』、テクノアソシエーツより) 3

非常時だけでなく常時使用で価格性能比を高める

 電力を貯蔵する定置用蓄電池システムに対するニーズは、2011年3月の東日本大震災によって大きく変化した。特に、事業所(工場)においては、蓄電池システムへのニーズが高まった。国内の電池関連メーカーには、「工場を止めたくない。いくらでも払うから電池を提供してほしい」という要望が殺到した。

 これは計画停電に伴う一過性の現象という観測もあったが、実際は違う。計画停電がなくなった後でも「蓄電池に対するニーズは継続して増えている」(日立工機など複数の蓄電池システム・メーカー)という。

 ただし、経済性を全く無視できるようになったわけではない。“安心感”が価格の許容度を広げる効果はあるものの、初期投資の少しでも回収できないと、対象は一部の富裕層に限られてしまう。例えば、震災直後には、電源を調達したいという消費者行動から、コンビニエンス・ストアなどの店頭から乾電池が姿を消したが、一般家庭に向けて蓄電池がどんどん売れているというわけではない。

 初期投資回収の答えの一つに、蓄電池システムを常時利用することによる電力のピークシフトがある。常時使用してシステムの稼働率を上げることで投資回収を早めるわけだ。しかも、電力のピークシフトは電力料金の節約につながる。夜間の電力需要が少ない時間に蓄電池に充電し、日中の需要ピーク時に放電すれば、昼夜の料金の価格差がプラスとなる。使用する電力のピークを抑えれば、契約を変更して基本料金を下げることもできる。

 

三つの連携で高付加価値化を図る

 将来的に蓄電池システムの普及をさらに拡大するには、ピークシフトだけでは商品性に欠ける。次のステップとして、太陽光発電の“創エネ”、家電制御の“省エネ”、蓄電池の“蓄エネ”の三つを連携させて付加価値を高める必要がある。

 この中核となるのが太陽光発電、家電、蓄電池などの構成要素を統合して管理するHEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)である。HEMS/BEMSが、太陽電池の発電状況や家電の電力消費状況に応じてエネルギーを有効活用できるよう、時間ごとにきめ細かく制御する。

 例えば、日照量によって太陽電池の発電量が変化した場合に家電の電力使用量を抑えたり、天候の変化を予測し前もって蓄電池に貯めたりするといったことが自動で行える。

 震災前、蓄電池システムは太陽光発電システムと同様に既存の設備に追加する一つに過ぎなかった。しかし、太陽光発電システムは国や自治体からの補助金、余剰電力の固定価格買い取りなど、導入を支援する制度がいくつもある。

 一方、蓄電池システムは100万円単位の導入費用が必要だが、太陽光発電システムのような支援制度はなかった。このため、蓄電池システムは「経済的にとても手が出ない」という見方がほとんどだった。

 それが震災後、電力なしでは社会全体が成り立たないことを人々が体験し、電力会社が計画停電を実施したことで「電力が途絶えることはない」という常識が覆された。その後も「また予測できない事態が起きたら電力が止まるのではないか」という不安は払拭されていない。

 さらに、電力供給の要だった原子力発電に対する信頼が揺らぎ、電力の安定供給が危うくなっている。電力を貯蔵することで有事に備える“安心感”を得ることを優先し、人々は蓄電池システムを求めるようになる。

自動車メーカーが市場を牽引

 それでも、より早い市場拡大を期待すれば、蓄電池の価格を下げる必要がある。冒頭のNECが蓄電池システムの価格リーダーになり得たのは、自動車用電池の製造を手がけていることが大きい。NECがパートナとして組む日産自動車は、2015年までには年間50万台の規模で電気自動車(EV)用電池の量産体性を敷く。

 その電極生産の大半をNECグループが担う。EV用電池で培った電池・電極製造のインフラやノウハウを、定置用蓄電池にも生かすことで、高い安全性と低コスト化の両立を図る。同様に、伊藤忠エネクスも米EnerDel社の自動車用電池を活用した蓄電池システムの販売で攻勢をかける。

 自動車メーカー自身も家庭の電力貯蔵市場に商機を見いだしている。トヨタ自動車は、「エスティマ」のHEVモデルが持つ電力供給機能が東日本大震災の被災地で活用されたのを機に、その機能をプリウスなど他のHEVにも拡大させる方針である。

 日産自動車や三菱自動車も2011年度内に住宅への電力供給機能を持つEVを販売することを明らかにしている。以前は自動車メーカー内部で「自動車の駆動用途以外に電池を使うべきではない」という反対意見も強かったという。だが、震災以降はその勢力が影を潜めているようだ。

 

分電盤に直接つなげる大容量蓄電システムですが、

鉛だ!dangerどのくらいの寿命???

日立コンシューマ・マーケティング(東京・港)は、住宅の分電盤に直接つなげて節電と給電ができる蓄電システムを10月下旬に発売する。既築の住宅への後付けが簡単で、マンションにも設置できる。電気自動車向け充電スタンドと同じ「エネタス」ブランドで展開する。

 

 
蓄電システム「エネタス」(写真:日立コンシューマ・マーケティング)
蓄電システム「エネタス」(写真:日立コンシューマ・マーケティング)

 

 受変電設備などを開発する正興電機製作所の蓄電システムを採用した。夜間電力で充電し、平常時にはピーク時の電力使用量を抑制。停電時には非常用電源として給電する。タイマー切り替えで動作し、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)機能は持っていない。

 総容量7.8kWhの長寿命のLL形鉛蓄電池を内蔵。平常時の最大使用可能容量は5.4kWhで、フル充電状態からであれば、計500W分の家電製品を約10時間利用できる。

 太陽光発電システムと組み合わせることも可能で、長時間の停電時があっても太陽光発電を自立運転に切り替えて蓄電できる。

 本体寸法は幅1277×奥行き340×高さ1370mm、重さは約500kg。設置場所には500kgの重量に耐えられる強度が必要。希望小売価格は210万円(施工費は別)。  

 

sun電力不足や計画停電に対する備えから今、注目を集めているリチウムイオン電池を使った家庭用蓄電池システム。しかし、その商品化に大幅な遅れが生じている。

 

 

写真1 大和ハウス工業のスマートハウス「スマ・エコ オリジナル」で用いる家庭用リチウムイオン電池
 

写真1 大和ハウス工業のスマートハウス「スマ・エコ オリジナル」で用いる家庭用リチウムイオン電池

 大和ハウス工業は、蓄電池システムの制御機能を備えたスマートハウスを2011年10月に発売した(写真1)。他社に先駆けて発売できたものの、当初予定していた「2011年の春ごろ」というタイミングから、半年ほどずれ込んでの発売になってしまった。理由は「蓄電池の安全性で第三者認証を得るのに時間がかかったため」(同社取締役常務執行役員の濱 隆氏)だという。

 

 日立コンシューマ・マーケティングは2011年10月4~8日に開催された「CEATEC JAPAN 2011」で、家庭および事業者用の蓄電池システムを披露した。しかしそれは、正興電機製作所が開発した制御系と鉛蓄電池(電池セルは新神戸電機製)を用いたもの。リチウムイオン電池を使った蓄電池システムもその隣に展示していたが、それは中身のないモックアップだった(写真2)。「まだ安全性をクリアできていない」(同社説明員)からである。

 

 ほかにも安全性を考慮してリチウムイオン電池による蓄電池システムの商品化に踏み切れないメーカーは多い。大容量リチウムイオン電池の安全性確認が、商品化のボトルネックになってしまっているのである。

 

 

写真2 日立コンシューマ・マーケティングがCEATEC JAPAN 2011の会場で見せた家庭・事業者用リチウムイオン電池のモックアップ
 

写真2 日立コンシューマ・マーケティングがCEATEC JAPAN 2011の会場で見せた家庭・事業者用リチウムイオン電池のモックアップ

■消防法では危険物に該当

 

 その背景には、太陽光発電の電力を貯蔵するような大容量の蓄電池システムについては、携帯電話機などに使う小容量のリチウムイオン電池のように標準化された安全基準がまだないことがある。一方で、東日本大震災以降、海外製のリチウムイオン電池を搭載した蓄電池システムがどんどん日本市場に入り込んできている。蓄電池システムの普及を促す政府の支援制度の検討も始まり、国税を投入する対象とするには一定の安全基準を早急に設ける必要があった。

 

 このため、国内の電池メーカーで構成する電池工業会が業界規格として「産業用リチウム二次電池の安全性試験(単電池及び電池システム):SBA S1101」を7月29日付で発行した。ただし、これは電池メーカー側の自主的な基準である。今回の震災に伴う福島第1原子力発電所の事故では、内部関係者による安全基準の問題点が浮き彫りとなった。こうした状況から「メーカー側の自主基準では、もはや周囲は納得しない」(電池の安全性に詳しい関係者)との見方が増えている。

 

 そこに追い打ちをかけているのが、消防法による規制である。

 

 リチウムイオン電池の内部には、可燃性の電解液が詰まっている。このことから、現行の消防法では灯油や軽油と同じ「第4類第二石油類」の危険物に該当すると考えられている。そうなると、指定数量(1000リットル)以上の貯蔵または取り扱いは、規制基準に適合した施設でないと実施できないのだ。例えば、施設を不燃材で作ったり、住宅や学校、病院から一定の距離を保ったりする必要がある。

 

 リチウムイオン電池だけで指定数量の1000リットルに達する例は少ないものの、指定数量は自家発電用の燃料などと合算される場合がある。既に自家発電設備を備えている施設などにおいては、少量であっても蓄電池システムを置けなくなる可能性がある。

 

 この規制に関しては、2011年3月に開催された行政刷新会議の規制仕分けにおいて再検証することが決まっており、この8月から総務省消防庁の主催で有識者を集めた検討会が始まった。8月と9月に1回ずつ会合が開かれたが、「危険物として規制したい側と危険物から外したい側の主張がかみ合わず平行線の様相」(関係者)だという。次回以降の会合では、火災が発生して蓄電池システムの近くに火が回り、同システムが燃えた場合にどうなるかといった実験の結果を検証する予定だが、その実験方法もなかなか決まらず、検討会の期限である2011年末までには結論がまとまりそうにはない。

 

■経産省プロジェクトの目玉に

 

 そこで期待を集めているのが、第三者の認証機関である。記事の冒頭で述べた大和ハウス工業の場合、蓄電池システム・メーカーのエリーパワーがドイツに本拠地を置く第三者試験・認証機関のテュフ ラインランド グループの日本法人に働きかけ、安全基準の認証を得ることで「早く使い始めたい」というユーザーのニーズに応えた。

 

 経済産業省も動き始めた。国内の4地域(横浜市、豊田市、けいはんな、北九州市)でスマートコミュニティの実証実験を行う「次世代エネルギー・社会システム実証事業」の第2次公募では、リチウムイオン電池の安全性に関する第三者認証の評価手法の開発が「目玉のテーマ」(経済産業省)になっている。

 

 こうした安全性の評価手法を実効性のある形で確立するには、電池各社が持つ過去の事故の解析結果や自主的な試験データを互いに持ち寄ることが欠かせない。しかし、これまで日本の電池業界は「安全性に関するデータはほとんど開示せず、そのために海外勢に後れをとった」(関係者)との指摘もある。今回の震災を機に、日本が蓄電池システムの技術開発で産業競争力復権を目指すのであれば、これまでのような閉鎖的な電池業界の体質を根本的に改める必要があろう。

 

 ハイブリッド車(HEV)でリチウム(Li)イオン2次電池の採用が広がっている。従来のNi-MH(ニッケル・水素)2次電池よりも小型・軽量化できるうえ、電池の出力を高められるので動力性能の向上にもつながる。本連載の第1回ではホンダの事例、第2回(前回)は日産自動車の事例でLiイオン2次電池の使いこなしを見てきた。最終回の今回はトヨタ自動車が「プリウスα」でどのようにLiイオン2次電池を使ったかを解説する。

 トヨタは「プリウスα」で、電池の小型化を最も重視してLiイオン2次電池を採用した。

 プリウスαには5人乗り仕様と7人乗り仕様があり、5人乗り仕様は通常の「プリウス」と同様に、Ni-MH2次電池を後席後ろの荷室床下に搭載している。しかし、この場所に電池があると、7人乗りの3列目シートが置けない。このため、7人乗りでは運転席と助手席の間のセンターコンソール内に電池パックを置いた(図1)。この場所に必要な容量の電池を置こうとすると、Ni-MH2次電池では不可能だったという。

 

図1 7人乗り仕様の「プリウスα」の電池搭載位置  運転席と助手席の間に搭載されているセンターコンソールに内蔵している。
 

図1 7人乗り仕様の「プリウスα」の電池搭載位置  運転席と助手席の間に搭載されているセンターコンソールに内蔵している。

 

 「純粋なセル同士の比較では、質量、容積ともNi-MH2次電池の半分くらいになっているが、安全性を重視してケースなどに頑丈なものを使っているため、電池パック同士の比較では質量・体積で2割減くらいになる」(トヨタ自動車第2技術開発本部HV電池ユニット開発部新電池制御2グループの真野亮氏)。

 

Liイオン2次電池の電池パックは、角型セルを56個内蔵する(図2)。56個としたのは、5人乗り仕様のNi-MH2次電池と電圧をそろえるため。3.6V×56=201.6Vは、5人乗り仕様車のNi-MH2次電池の電池パックの電圧とまったく同じだ。ただし、電流容量はNi-MH2次電池の6.5Ahに対し、Liイオン2次電池は5Ahと小さいため、電池パックの電力容量も、1.31kWhに対し、1.0kWhと低くなっている。

 

図2 7人乗り仕様のプリウスαのLiイオン2次電池パック  角型セル28個を積層したスタックを上下2段に分けて搭載している。

図2 7人乗り仕様のプリウスαのLiイオン2次電池パック  角型セル28個を積層したスタックを上下2段に分けて搭載している。

 

■周辺回路もNi-MH2次電池と「共通」

 

 ホンダの「シビックハイブリッド」や日産の「フーガハイブリッド」と異なり、プリウスαでは、Ni-MH2次電池との互換性を重視し、Liイオン2次電池の出力特性を、動力性能の向上には生かしていない。加速性能などもNi-MH2次電池と同じになるように制御しているという。

 

 意外なのは、インバータのハードウエアなど、周辺回路もNi-MH2次電池と共通にしていることだ。このハードウエア自体はプリウスとも共通だという。本連載の第1回で、ホンダは新型シビックハイブリッドで、Liイオン電池の採用に当たってインバータなどの周辺回路の変更を迫られたことに触れた。これは推測になるが、現行プリウスの周辺回路は、将来のLiイオン2次電池への展開も考えて設計された可能性が高い。

 

 プリウスαに搭載されたLiイオン2次電池は、正極材にLiNiO2(ニッケル酸リチウム)を主成分とする、いわゆるNCA系〔Li(Ni-Co-Al)O2〕である(Coはコバルト、Alはアルミニウム)。LiNiO2はエネルギ密度の面では有利だが、熱安定性の面で課題があるのは、本連載の第1回で説明した通りだ。

 

この点はトヨタも認識しており、安全性の確保には力を注いでいる。具体的には正極に、高温になると電気抵抗が増す導電性樹脂であるポリマPTC(Positive Temperature Coefficient)層を、負極には耐熱性の高い「HRL(Heat Resistance Layer)」と呼ばれるセラミックス層を形成している(図3)。また、センサによるセルの状態監視も多重系にするなど「徹底的にやっている」(トヨタの真野氏)。

 

図3 プリウスαのLiイオン2次電池の構造  安全性を高めるため、ポリマPTC層や耐熱セラミックス層を設けている。
 

図3 プリウスαのLiイオン2次電池の構造  安全性を高めるため、ポリマPTC層や耐熱セラミックス層を設けている。

 

 Liイオン2次電池の生産は、トヨタとパナソニックの合弁会社であるプライムアースEVエナジー(PEVE)が担当し、トヨタの貞宝工場(愛知県豊田市)内のラインで製造している。このラインの生産能力は1カ月当たり車両1000台分なので、プリウスαの7人乗り仕様車はこれ以上の増産は難しいことになる。

 

 プリウスαは発売後1カ月の2011年6月12日時点で受注台数が5万2000台となっており、このうち3列シート車が1万7000台と、約3分の1を占める。月産1000台では納車に1年半近くかかる計算だ。ただ、トヨタとしてはLiイオン2次電池の初めての量産であるため、「徐々にステップアップしていきたい」(プリウスαの開発責任者で、現在はトヨタ製品企画本部主査の粥川宏氏)と、慎重に増産を進める構えだ。

 

 

 

 

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